増資の方法や手続き
会社が合併したり、新株予約権が行使されたり、内部留保を資本に組み入れたりする場合にも株式会社の資本は増加します。
ここでは、一般的な資金調達として新しく株式を発行して増資する場合を考えてみます。
会社には公開会社と非公開会社という2種類の会社があります。
公開会社は株式の譲渡する自由を全面的又は部分的に認めている会社で、非公開会社というのは株式を譲渡する際に必ず会社(会社の機関)の承認が必要となる会社を言います。上場している会社は全て公開会社となりますが、上場しているか否かと公開会社・非公開会社とはカテゴリーは一致していません。
公開会社の場合には取締役会を必ず置かなければならず、新株発行を行う権限も取締役会にあります。
これとは異なり、非公開会社の場合には新株発行を行う権限は株主総会にあります。
株式の発行手続き
非公開会社においては新株発行を行う権限は株主総会にあります。
その権限を株主総会の決議によって一定の枠内で取締役(取締役会設置会社においては取締役会)に委任することもできます。
募集株式を発行する際には発行可能株式総数に気を付ける必要があります。
株式会社は発行可能株式総数を超えて株式を発行することができないとされています。発行可能株式総数を超える株式を発行する場合には株式発行の効力が生じる前に発行可能株式総数を変更して枠内に収まるようにする必要があります。株式の超過発行には5年以下の懲役又は500万円以下の罰金という厳しい罰則が規定されていますので気を付けましょう。
発行しようとする新株の割当てについては既存の株主に株数に応じて割り当てる場合とそれ以外の場合があります。
一般的に前者の場合を株主割当、後者の場合を第三者割当と呼びます。
非公開会社では定款に別段の定めがない限り株式の割当ては株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)で行います。
但し、募集株式を引き受ける者が募集株式の全てを契約により引き受ける場合には割当ての手続きは行われません。
これを総数引受契約と呼びます。1人で総数を引き受けることも、数人で共同して総数を引き受けることもできます。
非公開会社では総数引受契約は、定款に別段の定めがない限り株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)の承認を受ける必要があります。
通常の手続のの場合には募集株式の割当てを行うと、出資期日の前日までに割当てたことを通知する必要があります。
しかし、総数引受契約の場合には出資期日の前日までの通知が不要となるため、最短1日で手続きを完了させることができます。
株式の発行手続きの流れ
募集事項の決定及び引受人の募集
↓
募集株式の申込、その割当て及び通知( ← 総数引受契約の場合には行われない)
↓
出資の履行
↓
法務局への登記申請