株主総会決議(総社員の同意)による解散
株式会社(特例有限会社を含む。)は株主総会の決議により解散する事が出来ます。持分会社は総社員の同意により解散することが出来ます。会社は解散後、清算手続きに入り、清算の目的の範囲内で存続することになります。解散により取締役は退任し、清算手続きは清算人によってなされます。尚、監査役は解散によって当然には退任せず、従前の任期の規定の適用も受けません。
清算人は定款で決まっていない場合には株主総会の決議(業務執行社員の過半数の同意)で選任します。以上により決定できない場合は取締役(業務執行社員)がなりますが、その者もいない場合は利害関係人の申し立てにより裁判所が選任します。
清算手続
会社の解散後に清算人は現務の結了、官報による解散公告、解散および清算人選任の登記申請、解散事業年度の確定申告、債権債務の整理などを行います。まずは財産の現況調査を行い、財産目録及び貸借対照表を作成して株主総会の承認を得ます。また解散公告を手配するとともに事業年度終結による確定申告や債務の取立、財産換価等を行っていきます。債務の弁済に関しては原則として公告期間後でなければすることはできません。公告期間が終了して債務弁済等の清算事務が終了したら残余財産を確定させ清算結了事務に入っていきます。
官報による解散公告は従前は最低3回する事とされていましたが、現在では株式会社・持分会社に関しては1回公告すれば足りるようになりました。公告費用は掲載する行数によって多少かわりますが概ね3万2000〜3万4000円程度です。清算結了の登記はこの官報による解散公告の期間を考慮して解散後少なくとも2ヵ月経過した後でないと受理できないとされています。この事は、法務省は会社が債権者を認識していなくても解散公告をする必要があると考えていると理解できます。
解散後に必要な登記は解散及び清算人(代表清算人)就任の登記です。また、会社によっては株式譲渡制限の規定の変更登記や清算人会設置会社である旨の登記が必要になります。それぞれの登録免許税は次のとおりです。
解散登記 3万円
清算人就任 9000円
清算人会設置(清算人就任に含まれます)
株式譲渡制限の規定変更 3万円
株主総会で清算人を選任した場合の解散および清算人就任登記に必要な書類は次のとおりです。
1 解散および清算人選任にかかる株主総会議事録
(又は総社員の同意書及び清算人選任決議書)
2 定款
3 清算人の就任承諾書
4 印鑑届出書(届出人の印鑑証明書付)
会社が解散した後は会社は清算の目的の範囲内で存続する事になります。この場合でも株式や社債の発行をする事はできるとされています。また、一定の場合には継続をさせることもできますし、清算会社を消滅会社とする合併もできます。しかし、清算会社を存続会社とする合併はすることはできません。また、剰余金の分配や株式交換、株式移転といった組織変更もできなくなります。
清算結了
債権の取り立てや債務の弁済が終わって残余財産ある場合には、清算人は株主に対し持ち株数に応じて残余財産を分配します。残余財産が確定すると、清算人は清算確定申告をし、株主総会を招集して残余財産の分配を含む決算報告の承認を受けます。残余財産がマイナスの場合には会社はそのまま清算することはできず、破産や特別清算・他の会社へ合併させる等、他の方法によるしかありません。
最終の決算報告が承認されて清算が結了すると清算人は清算結了の登記をします。この清算結了前までは、株主総会の特別決議(社員の同意)により会社を清算させずに継続させる事もできます。清算結了登記の登録免許税は2000円で、決算承認を証明する書面を添付して登記します。
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