特例民法法人の一般民法法人への移行
平成20年12月に施行された一般社団・財団法人法により、従来の民法法人は5年間の移行期間中に公益民法法人又は一般民法法人へ移行しなければ移行期間満了日に解散したものとみなされます。一般民法法人へ移行するには行政庁(公益認定等委員会又は各都道府県の認定委員会)の認可を受ける必要があります。
社団法人・財団法人の場合
特例財団法人が一般財団法人に移行するには、最低限、次の作業が必要になります。
1 最初の評議員の選任(財団のみ)
2 新しい定款の作成(社団・財団とも)
3 公益目的財産がある場合は公益目的支出計画の作成(社団・財団とも)
上記1に関しては選任方法につき、従来の監督官庁の認可を受ける必要があり、上記2及び3については行政庁の認可をうける必要があります。
最初の評議員の選任
現行寄付行為上の評議員は新しい法人法上の評議員とは別個のものとされており、移行するには定款を変更して法人法上の評議員制度を採用したうえで、改めて評議員を選任する必要があります。
そして、この最初の評議員を選任するには、従来の監督官庁の認可を受けた選任方法で選任する必要があります。これは新しい財団法人法上は評議員が非常に重要な意思決定等を行う権限が与えられており、社団法人でいう社員総会と同様の役割を与えられていることに鑑み、一定の団体の恣意的な財団運営を防ぐことを目的としてのようです。
この認可を受けるには、監督官庁により多少異なると思いますが、単純に理事が選任方法を決めることはできず、次の基準を満たした選任方法を従来の寄付行為上の評議員会や理事会に諮って決定することが求められます。
1 中立的立場にある者が複数参加する機関を設置し、この期間が最初の評議員を選任する場合
2 一定の知見を有する中立的な立場の法人や事業体に委ねる場合
※その他の役員
特例社団・財団法人の理事及び監事はそのまま一般社団・財団法人の理事及び監事と看做されますので移行時に別途新役員を就任させる旨を特別に定めない限りは引き続き理事及び監事の職に就く事になります。但し、任期は一般社団・財団法人の法定任期を超えることは出来ないので移行時に超えている場合には移行の時に任期満了となってしまいます。また、理事会設置社団法人や財団法人に移行する法人は代表理事を定める必要があり、移行後の定款の附則にその氏名を記載することになります。
新しい定款の作成
新しい定款には名称を一般社団法人又は一般財団法人とする変更や、公告方法や機関設計を一般法人法に適合するような変更が必要になってきます。ちなみに、最初の評議員の記述で一部ふれましたが、現行定款又は寄付行為上の理事会、代表理事、評議員や会計監査人は新しい法人法上の機関とは別個のものとされるため、改めて定款変更手続きにより採用する必要があります。また、現在では移行後の定款案を行政庁で事前審査してもらえる場合があるようです。社員総会や理事会などで移行認可に関する最終承認を受ける前に調整しておいた方が良いと思われます。
公益目的支出計画の作成
公益目的財産がある場合は、その財産は公益目的に支出されるべきものとなるので当該財産が0となるまでの支出計画を作成して行政庁の監督下で計画遂行する必要があります。従来の公益事業の他に新しい事業を起こして計画策定することも可能です。この場合の新規事業は従来と同様の公益性が求められるものと考えられます。
公益目的支出計画の変更
一般財団法人に移行後は公益目的支出計画にそって支出をしていく必要があり、監督官庁に毎年報告することになります。この支出計画が変更となる場合(軽微な変更は事後の届出で済む場合があります。)には変更の認可を得る必要が生じます。
認定、認可のスケジュール
公益法人への移行認定、一般法人への移行認可ともに申請後にそれなりに時間がかかっているようです。早いものですと3ヶ月位で審査を通るものもあるように聞いていますが、様々な理由でかなりの日数を要しているケースが多いようです。5年間の移行猶予期間は非常に短いので早期に公益移行認定又は一般以降認可に向けての作業着手する必要があります。当事務所では、計画の作成のはじめからご相談にのらせて頂けます。
|